「イタリア研究会」とは?
「イタリア研究会」は、イタリア政府国費留学生やローマの日本大使館に勤務した外交官や各省庁からの出向者、企業のイタリア駐在員たちが中心になって,1976年9月に結成した「イタリア問題研究会」がその始まりです。
当初は、社会科学系のテーマを中心に、会員が持ち回りで報告をする会でした。その後「イタリア研究会」に改称,講師も外部から招くようになり、テーマも人文科学系にも及んで、門戸が広がりました。
詳しくは、イタリア研究会の歴史をご覧下さい。現在「イタリア研究会」には特別な入会資格はなく、イタリアに関心を持つ人達の集まりになっています。
会員数は約150名、会の運営には10名程のボランティアの運営委員があたっています。活動は、毎月1回各分野のイタリア研究者を講師に招いての例会、新年会,夏のワインパーティ,ホームページや会員専用のメーリングリストによる情報提供が主なものです。
例会は通常、上野の東京文化会館大会議室を会場に、講演と質疑応答で午後7から9時までの2時間。例会終了後には、有志による講師を囲んでの懇談会もあります。例会の講演内容はホームページに会員専用ページを設けて掲載しています。
会員専用ページは、会員だけに渡されるパスワードで閲覧できます。これまでの講演と演題は「講演会レポート」にまとめてあります。
「イタリア研究会」の歴史
<誕生>
イタリア研究会は、1976年9月、<イタリア問題研究会>として誕生した。これは、初期のイタリア政府奨学金による留学生や、ローマの日本大使館に勤務した外交官や各省庁からの出向者、企業のイタリア駐在員、新聞社のローマ特派員たちが、日本に帰国してからも「これからもイタリアについて勉強を続けて行こう」を合言葉に発足させた有志の集まりである。発起人や草創期のメンバーには、松浦保・元慶応大学教授(経済)、故竹内啓一・元一橋大学教授(社会地理)、山口浩一郎・元上智大学教授(労働法)、故金倉英一・元ミラノ総領事、田辺健・元ミラノ総領事、故森田雄二・元栃木県警本部長、木村裕主(元毎日新聞社ローマ特派員)、岡本義行・法政大学教授(中小企業論)、渡会勝義・早稲田大学教授(経済)、諏訪康雄・法政大学教授(労働法)など、今日まで日本の社会科学の分野でのイタリア研究をリードしてきた第一人者たちや、日伊協会の専務理事として日伊民間交流に活躍してきたイタリアニストたちが見られる。
<歩み>
発足以来、原則として月一回の例会を開いてきたが、その記念すべき第一回は、1976年9月16日、東京・三田の慶応義塾大学の研究室棟の会議室で、「最近のイタリア政治情勢」のテーマで行われた。講師は、警察庁から在ローマ日本大使館一等書記官として出向した経験のある、当時は内閣調査官だった森田雄二氏であった。その後も、会員が持ちまわりで講師をつとめ、前述したように社会科学の分野の研究者が中心だったので、イタリア「問題」研究会として発展していった。
20人ほどのメンバーでスタートしたイタリア問題研究会は次第に世間にも知られる存在となり、メンバー以外にも聴講者を受け入れるようになった。また、初期は会員の持ち回りによる報告であったが、外部からも講師を招聘するようになり、取り上げるテーマも社会科学から人文科学にまで広がった。会の名称から「問題」が外されたのは、このあたりの事情を反映している、つまり、例えば芸術・文化のテーマであれば、政治・経済と違って、「問題」と呼ぶのが馴染まないからである。また、当初は専ら研究者中心であった会員も、次第にイタリアに関心のある一般人にも開放されていった。
<例会>
2006年9月で創立30周年を迎えたイタリア研究会の例会は、すでに300数十回を数える。そのリストは報告者一覧で見られるが、ここでは節目となった会のテーマと講師を特筆する。100回目の例会は、1987年2月20日、東京・九段のイタリア文化会館で、竹内啓一・一橋大学教授(当時)が「南イタリアにおける都市経済-現状と特色」のテーマで講演。200回目の例会は、1997年3月6日、東京・神田神保町の学士会館で、陣内秀信法政大学教授が「サルデーニャの町と田園-聖と俗の空間」のテーマで講演。300回目の例会は、2005年4月16日、東京・銀座の三笠会館で、松浦保・元慶應義塾大学教授が「イタリアと共に50年」のテーマで講演。そして、2006年10月14日、イタリア研究会30周年記念講演会を、東京・本郷の東京大学医学部鉄門記念講堂で佐々木毅・前東京大学総長を迎えて、「マキアヴェッリと政治の見方」の演題で開催した。これらの4回の例会では講演後、いずれも多数の参加者を得ての記念パーティも開催されている。
<運営>
イタリア研究会は、特に「会長」職はおかずに、ボランティアの有志によって運営されてきた。また、「事務局長」との明確なポストも設けられてこなかったが、実質的な運営には、初代が松浦保・慶応義塾大学教授(当時)、その後、山口浩一郎・上智大学教授(当時)、諏訪康雄・法政大学教授、岡本義行・法政大学教授、藤井盛夫・日本大学助教授、市井勇人氏(日航勤務)、高橋真一郎氏(元朝日新聞社社会部記者)が代々、あたってきた。現在は、2005年4月に橋都浩平・前東京大学医学部教授に引き継がれ、運営委員長として、他の10名前後の委員と共に役割分担して、会の運営にあたっている。現在の集団での合議制による運営体制になる前、前述の各事務局長の時代にも、事務補佐・協力にボランティアであたった会員がいた他、事務局長の家族を動員しての後方支援のサポートを得たこともあった。また、かなりの長期にわたり、田辺健(元ミラノ総領事・日伊協会専務理事)が、例会の司会と質疑応答の口火を切るコメンテーターの役割を果たした他、例会案内送付作業などに三笠会館系列のオフィスウノ(代表宮本順子氏)の支援を受けたことがある。
<会場>
第一回目の会場に、創立メンバーのひとり・松浦保氏の当時の勤務先であった慶応義塾大学を借りて以来、代々、事務局長のつてや会員の力添え・斡旋で、市谷の私学会館、赤坂の日興證券会議室、麹町の半蔵門会館、水道橋の日本大学、神田神保町の学士会館、六本木の国際文化会館を利用してきた後、2005年5月からは通常、上野の東京文化会館大会議室を使用している。
<報告書>
初期のものは、「イタリア問題研究会レポート」として、報告の内容をA4サイズの白表紙の冊子として作成していた。その後、1988年9月の第115回例会以降は、当時の(株)スパチオ研究所(代表取締役伊藤哲郎氏)の資金援助を受け、例会の講演速記録をB5サイズの「イタリア研究会報告書」として出版、会員に配布した他、在イタリア日本商工会議所の会員配布用に買い上げてもらった期間もあった。その後、イタリア研究会の財政事情が厳しくなったことに加えて、インターネット時代の到来によって、印刷物としての報告書の制作は取りやめ、現在では、イタリア研究会の有料会員のみ閲覧可能のホームページへの掲載のみとなっている。
<日伊協会との関係>
財団法人日伊協会からは、1978年以降、2005年度までの長期にわたり、毎年、補助金を受け、財政的・運営上の大きなサポートを得てきたし、現在もイタリア研究会の事務処理上の便宜を受けている。また、日伊協会の現会長(英正道氏)や歴代の専務理事(故金倉英一、田辺健、大谷啓治、楠田正義の各氏)はイタリア研究会の会員でもあり、二つの団体の交流・協力関係に多大なご貢献をいただいてきた。過去には、夏のワインパーティの共同開催などの事業もあったし、今後とも相互協力の継続・推進が望まれている。
(会員の皆様へのお願い:将来のためにも、<イタリア研究会の歴史>については、極力、客観的な記録を残しておく必要があります。この項について、事実誤認などにお気付きの方は運営委員会に是非ともご指摘下さい。)
「イタリア研究会」運営要綱
イタリア研究会運営要綱
(1987年2月10日作成)
(1989年5月19日改正)
(2005年7月24日改正)
名称
第一条 本会は名称をイタリア研究会とする。
目的
第二条 本会の目的はイタリアに関する研究報告および意見の交換等とする。
事業
第三条 本会は、前条の目的を達するために次の事業を行う。
研究報告会の開催
その他本会の目的を達するために必要な事業
会員
第二条の目的に同意し、本会に入会しようとするものは年会費を事務局に納めねばならない。年会費は総会においてさだめる。
第五条 会員は、事務局に通告すれば退会することができる。会費を滞納したものは非会員と見なす。ただし滞納分を納入することにより会員資格を回復することができる。
事務局
会務を処理するために事務局をおく。
事務局を適宜選任する。
総会
第八条 本会は毎年1回総会をひらく。
第九条 総会の議事、会場及び時期をあらかじめ会員に通知する。
第十条 事務局は総会において会務および会計を報告しなければならない。
運営委員会
第十一条 会を運営するために運営委員会をおく。
第十二条 運営委員を若干名選任する。
第十三条 運営委員は任期を1年とし、再任をさまたげない。