イタリア研究会◇事務局からのお知らせ

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第400回記念例会・祝賀会報告2013-10-08(火)

 10月6日日曜日,イタリア研究会の第400回記念例会・祝賀会が六本木の国際文化会館で開かれました。
 イタリア研究会,当時はイタリア問題研究会と呼ばれていましたが,の第1回例会は1976年9月26日に開かれ,それから37年を経て,めでたく400回の例会を迎える事が出来ました。昨日はそれを記念して記念例会と祝賀会が開かれたわけです。14時から行われた記念例会の講師は,東大名誉教授・前国立西洋美術館長で,今年7月に文化庁長官に就任された青柳正規さん,演題名は「イタリアと私」でした。
 1969年に東京大学文学部大学院修士課程を終えた青柳さんは,すぐにローマ大学に留学して,西洋史学,古典考古学の勉強を始めました。ラテン語を自由に読みこなすヨーロッパ出身の学生たちとの古典教養の格差に愕然としながらも,着実に学問を身につけていきました。そして持ち前のバイタリティーと,人を味方に付ける人柄とを武器に,実地での調査を開始して,最初はポンペイでの発掘を行いました。それに次いで,シチリア島のアグリジェント近くのレアルモンテ,エトルリア地方のタルクィニアの発掘調査を行い,そして2004年からはヴェスヴィウス山の北側にあるソンマ・ヴェスヴィアーナの発掘を継続しています。ここからは女性像とバッカス像の2体の非常に美しい大理石彫刻を発見して,大きな話題となりましたが,さらに多くの遺物から,この遺跡が埋没した5世紀にも,この地方と地中海各地とが,交易によって結ばれていた事を証明し,蛮族の侵入により荒廃した末期のローマ帝国,というイメージを覆すという重要な成果を上げています。
 講演後に多くの質問が出ましたが,青柳さんは,実地の発掘調査が考古学には何よりも重要である事,日本もこの分野で大きな功績を残してきたし,今後も残す事ができるので,若い日本人がこの分野に参加する事を希望していると述べておられました。青柳さん,400回記念例会にふさわしい素晴らしいお話をありがとうございました。
 これに続いて,16:30から,同じ国際文化会館の岩崎小彌太記念ホールで,祝賀パーティーが開かれました.運営委員長の橋都の挨拶の後,記念講演を終えたばかりの文化庁長官・青柳正規さん,日伊協会専務理事の山田和彦さんの挨拶がありました。そして乾杯の発声は,イタリア研究会第1回の例会から参加されているという名誉会員・元ミラノ総領事の田辺健さんです。その後は,みなさまワインと料理を楽しみながら,これまでのイタリア研究会でのさまざまな話題や,イタリアでの思い出話に,楽しい時間を過ごしました。こうして400回の記念例会・祝賀会を迎える事が出来たのも,歴代の事務局長をはじめとする運営関係者の努力,そして会員の皆さまのご支持によると,改めて感じたしだいです.最後に前事務局長の高橋真一郎さんによる中締めのご挨拶によって,記念祝賀会はお開きになりました。これからは,さらに40周年,そして500回を目指して,皆さまとともに進んで行きたいと思います。 (橋都)